お知らせ

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2025年7月2日
「地域医療崩壊の危機にさらなる改悪を許すな」~事業所通信2025年7月号を掲載しました
「地域医療崩壊の危機にさらなる改悪を許すな
自民・公明・維新が病床11万削減やOTC類似薬の保険はずし狙う」
~事業所通信2025年7月号を掲載しました
今年3月、日本病院会などが「6割以上の病院が赤字経営に陥り、このままでは
ある日突然医療機関が地域からなくなる」と声明を出しました。医療機関の収入の
大部分を占める診療報酬は国が決めるため、他業種のように勝手に値上げできません。
2年に1回の診療報酬改定は2014年以降6回連続でマイナス改定、薬価引き下げ分を
除いても0.5%前後の引上げです。2024年度の消費者物価指数の伸び3.5%に対し、
昨年6月改定では人件費引上げ分を除くとわずか0.18%の引上げでした。
経営困難に加え、他産業との賃金格差の拡大で看護師の退職や確保ができず閉鎖する
医療機関が相次いでおり、地域医療の存続のためにも医療機関に対する緊急の財政
支援や診療報酬の引き上げが必要です。
ところが、自民・公明・維新の3党は、国の医療費を最低4兆円削減するため病床を
11万床削減することや、「OTC類似薬」の公的保険適用除外の協議をすすめています。
病床の大幅削減は、コロナ禍で明らかになった「地域で必要な入院が受けられない」
という医療崩壊の実態を深刻化させます。
薬局等で医師の処方箋なしで購入できる市販薬を「OTC医薬品」といい、全額自己
負担です。
「OTC類似薬」とは、成分や効能が似ていますが、医師の処方箋が必要で、医療保険が
適用されます。日本維新の会は、「OTC類似薬」を保険適用から外して全額自己負担に
すれば、医療費が減り社会保険料を引き下げられると主張していますが、これにも
大きな問題があります。
(1)市販薬は製薬会社が価格を自由に設定するため処方薬に比べて高く、家庭の薬代
負担は大幅に増えます。
皮膚の炎症に使う「OTC類似薬」の、ある塗り薬の薬価は1本169円で、調剤薬局
の費用を含めても1本約100円(3割負担)ですが、市販の「OTC医薬品」では1本
約2,000円と、約20倍です。
現在は子どもや障害者・難病等の方は保険適用の薬代も医療費助成の対象ですが、
保険適用外の薬は全額自己負担になります。「OTC類似薬」は、解熱鎮痛剤、消化器官用薬、
外皮用剤、眼科用剤、アレルギー用薬、漢方、痔疾用剤など、あらゆる診療科にわたり、
保険給付からはずされるとその負担増はあらゆる世代で甚大です。
(2)患者が自己判断で市販薬を使用すると、受診控えによる症状の悪化や過剰摂取、
合併症、重篤な疾患の早期発見遅れなどでかえって高額な医療費が発生する危険性が
あります。
医師は安価だった「OTC類似薬」の代わりに、別の高額な保険適用薬を処方するため、
逆に医療費の増加につながります。
(3)財政上の理由から保険給付範囲を縮小すれば、低所得者や子育て世代、がん患者
などは特に経済的負担が増え、ますます必要とする医療を受けられなくなり、地域医療
と国民皆保険の崩壊につながります。
公的医療保険の対象を縮小すれば国民負担はますます拡大し、無保険者が4700万人と
いわれるアメリカ型の自由診療社会に向かうことになります。社会保険料が多少下がっても、
まともに医療が受けられない社会になるのは本末転倒ではないでしょうか。
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